· 

自転車通勤で得られたこと②(脱力トレーニングの意義)

前回の記事「自転車通勤で得られたこと①(車が常識という先入観からの脱却)」の続きです。

 

この記事では、自転車通勤の際の動作の検証を重ね、気がついたことや心がけたことについて書きました。


自転車を漕ぐ時、どこを意識するだろう?

 

多くの人は太ももの前面を意識するかもしれない。

 

そして、太ももの前面の筋肉を力強く使おうとするだろう。

 

それが、落とし穴だ。

 

自転車のべダルを太ももの前面の筋肉を使って踏み込もうとしてはいけない。

 

そして、膝を伸ばそうとしてはいけない。

 

もちろん、メインで使われるのは太ももの前面の筋肉である大腿四頭筋であるのは事実であり、膝を伸ばす動作が伴うのも当然である。

 

だが、そこに意識を向けてはいけない。

 

ペダルを漕ぐために使われているのは大腿四頭筋だけではない。

 

そして、膝を伸ばす動作だけではない。

 

体幹を起点として動き、結果として大腿四頭筋が使われ、膝が伸ばされるのだ。

 

そう、股関節の動きと膝関節の動きを連動させ、脛骨にその力を伝え、ペダルを漕ぐ。

 

そうすれば、腸腰筋やハムストリングなども連動して働くため総合的な脚力が向上する。 

 

これが「自転車のペダルを漕ぐ」という動作の本質である。

 

この時、一番大切となるのが脛骨の位置である。

 

人は「力む」と骨を歪ませてしまう。

 

力強くペダルを漕ごうとすればするほど脛骨の位置が悪くなるのだ。

 

ペダルに対して脛骨が垂直になった時に、力が一番伝わることは容易に想像できるはずだ。

 

だが、ペダルを強く漕ごうとした途端、脛骨が斜めに傾き、力が流れてしまい、力がロスすることになる。

 

結論を言えば、ペダルと脛骨とを垂直にした状態で重いギアで漕ぐことができればスピードを上げることができるということだ。

 

脱力トレーニングというと「力を使わないことが脱力だ」と勘違いする人もいるだろう。

 

そうではない。

 

力を垂直に通せるように骨のアライメント(位置)を整えて動作することが脱力トレーニングなのだ。

 

その上で、負荷を大きくすることこそが脱力トレーニングの意義なのである。

 

ただ、身体感覚的に「力感を感じないようにする」ということだけだ。

 

負荷を大きくしても骨のアライメントをズレることなく身体の感覚を研ぎ澄ましてゆく。

 

そのように意識するうちに、本当の意味でも脚力を身につけることができるようになる。

 

その効果は実際に実感することができた。

 

その当時、時々テニスを行なっていたが、結婚を機に練習の回数は少なくなっていた。

 

だが、自転車通勤を始めるようになってからミスショットが少なったのである。

 

理由は、脚力が鍛えられてフットワークが良くなったため、正確なポジショニングができるようになり、打撃の精度が高まったからだ。

 

当時、一緒にプレーしていた人からも、その成長ぶりに驚かれた。

 

「あまり来ないけれど上手くなったね」

とか

「他で練習しているの」

とかも言われたこともあった。

 

毎日、自転車通勤を続けていた賜物。

 

ただ、それだけだったのだ。

 

逆を言えば、それまではボールを打つことにだけ執着して、肝腎の足腰を鍛えられていなかったということだろう。

 

自転車を漕ぎ続けるという行為は、言うなれば、左右交互にスクワットを行なっていることと同じである。

 

それを

  • 膝を伸ばす

ことを意識するのか?

 

股関節から動かし

  • 脛骨を垂直に保つ

ことに意識を向けるのか?

 

という違いだけだ。

 

かくして、私は自転車通勤を通して強靭な脚力と素早いフットワークを得ることができたのであった。


大田式調整動作®︎の脱力トレーニングは、脱力体を作り、強化し、活用するためのものであります。

 

そして、その内容の主軸となるのは身体調整であり、身体調整力を鍛えるものであります。

 

そのため、専門的な分野に置いてアドバイスをすることはありません。

 

ですが、あなた自身が行なっている専門的な技術に応用していくことは可能です。

 

なぜならば、自身の身体を知ることができるから。

 

身体を知り、知り得た情報を元に、自分自身で新たな技術を構築する。

 

このことが、脱力トレーニングの意義だと考えております。