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開脚ストレッチの罠

巷では、開脚ストレッチが流行っているようで、開脚ストレッチには「腰痛が改善される」とか「スタイルが良くなる」などの効果があるとも言われています。

 

しかし、実際には、開脚ストレッチ自体にはそのような効果はありません。

 

その証拠に、ヨガのインストラクターの中には腰痛持ちの人もいますし、太った人でも開脚できる人もいます。

 

逆に、開脚ストレッチができない人でも、腰痛知らずの人もいますし、痩せた人もいます。

 

ですので、開脚ストレッチを行えば必ず腰痛が改善されるたり、スタイルが良くなるわけではありません。

 

ただ、体のバランスを整えたほうが開脚ストレッチを行いやすいため、開脚ストレッチができるようになる過程で体のバランスが整い、腰痛が改善されたり、スタイルが良くなったりするのは事実です。

 

ただ、開脚ストレッチは、成功する人が少なく、多くの人が試みてもかえって筋肉の緊張を強くしたり、関節を痛めたりして挫折する人が多いのが現実です。

 

私も、3年ほど前から開脚ストレッチを検証しており、2年前には頭が地面に着くぐらいまでできるようになりました。

 

ですが、その翌日、必ずといっていいほどストレッチされた筋肉に強い筋肉痛が起こり柔軟性が落ちてしまうことを繰り返すようになり、それ以降、柔軟性が向上しなくなりました。

 

なぜなのか?

 

その理由は、日常生活を記憶する脳のプログラムなのでは?と考えました。

 

開脚ストレッチのように脚を伸ばしたまま足を大きく広げて前に倒すという動作を日常生活の中で行うことはまずありません。

 

よく体が硬いからとか柔軟性がないからだと言われていますが、実はそうではなく、開脚ストレッチの動作が脳にインプットされていないからだったのです。

 

日常生活で脚を開いて動作するのは、重い荷物を持ち上げようとする時や、障害物を跨ごうとする時などです。

 

これらの動作では、必ず、足の裏を地面につける必要があるため、膝は必ず曲がります。

 

このように「脚を開く=膝を曲げて足裏を地面につける」というプログラムが脳にインプットされているのです。

 

また、開脚ストレッチを行う時、骨盤を立てて腰椎の前弯(自然な湾曲)を保った状態で前屈させるように言われていますが、大抵の人は、足を開いたり、体を前に倒そうとすると膝が曲がり、腰が丸まってしまうと思います。

 

これは、上体を前に倒せば、膝が曲がり腰椎(腰の骨)が後弯するようにプログラムされているからです。

 

開脚ストレッチに慣れていない人が開脚しようとすると膝と腰が曲がってしまうのは、日常生活動作が脳にインプットされているからだと言えます。

 

ですが、日常生活で使われる関節可動域以上の動作が必要となる開脚は脳にインプットされていません。

 

おそらく、インプットされている可動域以上に筋肉が伸ばされたら縮むようにプログラムされているのでしょう。

 

それに対抗しようと必死になって開脚しようとすると伸ばした筋肉が過緊張状態になり、そうの状態で筋肉を伸ばそうとすることで筋肉が損傷しやすくなります。

 

これによって筋肉痛が起こります。

 

これは、伸ばされた筋肉に対して筋肉を守ろうとして筋肉の緊張を強める反射が起こってしまうからで、このような反射を伸張反射と言います。

 

ですので、伸張反射が起きないようにゆっくりと伸ばしていくようにと言われています。

 

ですが、開脚ストレッチにおいては、このように伸張反射を起こらないようにストレッチをしようとしても不思議と伸張反射が起こってしまいます。

 

開脚ストレッチを成功できいない理由が、筋肉をコントロールする脳のプログラムだったのです。

 

なので、開脚を頑張れば頑張るほど筋肉の柔軟性が落ちてしまうという悪循環に陥ってしまう。

 

そうだとしたら、開脚ストレッチは生まれつき体が柔らかい人にしかできないように思うかもしれません。

 

しかし、そうではありません。

 

方法はあり、キーワードになるのが「相反抑制」です。

 

次回の投稿で、相反抑制を利用した開脚ストレッチについて書いていきたいと思います。