今でこそ呼吸法といえば理解してもらえますが、私が呼吸法をはじめた20年以上前は呼吸法といっても「なんですか?それ」と言われたものです。
このような関係から、ひっそりと実践していました。
世間で呼吸法という言葉が知られるようになったのが、およそ15数年ぐらい前だと思います。
認知度が高まったおかげで「呼吸法を教えています。」と言ってすぐに分かっていただけるようにはなりました。
呼吸法の効果で一番知られているのが、心身のリラックスです。
あと、それに伴う自律神経のバランスを整える効果やダイエットにも効果があると言われています。
これらが、おおよそ呼吸法で知られている効果でしょう。
しかし、呼吸法にはあまり知られていない効果があります。
その一つが、体幹部の動きが良くなり、運動能力を高める効果です。
それは、深い呼吸を行なう過程で体幹部の骨が活発に動くためです。
息を吸うと、胸郭と腹腔を隔てる横隔膜が収縮し内臓が下垂しますが、ある程度下垂したら腹横筋が収縮することで骨盤が締まり、そのことによって横隔膜の下へ向かう力が腹横筋によって反発し、その反発する力によって胸郭が広がります。
息を出す時は、横隔膜が弛緩することで骨盤が緩み、それに伴って胸郭が縮みます。
このように、呼吸法には体幹部の骨だけを活発に動かす働きがあるのです。
運動能力の良し悪しは、体幹部の動きにあると言っても過言ではありません。
なぜならば、体幹部には体全体動きのバランスを取るという重要な働きがあり、すべての動作は体幹部の骨の動きによってリードされているからです。
もちろん手足を動かす動作であっても例外ではありません。
なので、体幹部の動きが良くなければ身体能力は良くなりません。
ですが、呼吸法以外の動作のほとんどが手や足の動きが伴うため、体幹部を意識して動かすことが難しです。
生きていれば誰でも行なっている呼吸。
その呼吸に、身体の可能性を引き出すカギが隠されているのです。