· 

気と催眠との関係

気というと

  • 不思議なもの
  • 怪しいもの
  • 非科学的なもの

などの認識があるかもしれません。

 

見ることのできないものなので、もっともな意見だと思います。

 

ですが、我々は生活を送る上で無意識に感じたり、使ったりしています。

 

例えば、

  • 空気を読む
  • 気が乗らない
  • 気分が良い
  • 気がかり
  • その気になる

など、気にまつわる言葉をなんの抵抗もなく使っています。

 

このように日本語で使われる気は、自分や相手の心だったり、意識を表す言葉として使われています。

 

「気」という言葉の由来となっているのは、東洋思想です。

 

東洋思想で言われる「気」とは、万物の根源を示す言葉です。

 

「気より陰と陽が作られ、陰と陽から五行(木・火・土・金・水)が生じる」というのが東洋思想の基本原則です。

 

なので、東洋思想より作られた東洋医学や風水気学も、気と陰陽、五行を用いています。

 

ここでは、

  1. 気による医術
  2. 気を用いる武術
  3. 気の修練法
  4. 気による弊害

について書いていきたいと思います。

医術で考える「気」

東洋医学では「気・血・水」の流れを整えることが前提になっています。

 

気・血・水を西洋医学的に解釈すると

  • 気は、神経系の働き
  • 血は、血管、血液の働き
  • 水は、リンパ、免疫系の働き

と言い換えることができます。

 

その中でも、東洋思想の根源となる「気」の流れを重視します。

 

健康であれば、身体の気の流れが良く全身に循環しています。

 

ですが、身体の一部に

  • 気の流れの滞りがあったり(気滞)
  • 気の不足があったり(気虚)

すると気の循環が悪くなり、それに伴い血と水の流れも悪くなります。

 

このことを病気と言います。

 

東洋医学では気の過不足を見ていきながら、

  • あん摩を行ったり
  • 鍼灸を行ったり
  • 投薬(漢方薬)を煎じたり

することで、気の過不足を失くし、気の循環を整えていきます。

 

なので、気を読み取ることができるかどうかが、治療の成否を決めると言っても過言ではありません。

武術で考える「気」

武術でも「気」を重要視されます。

 

ただ、「気」はエネルギーですので質量はありません。

 

ので「気を使って相手を飛ばす」などということは不可能です。

 

また、武術などでは

  • 気を相手に送る

などと言われますが、自身の身体と相手の身体との繋がりを作ることを意味します。

 

このことで、自分の身体から発した力を相手に当てて伝えるための道筋を作ることができます。

 

さらに、自分に向けられる相手の気の行き先を察知することもできるようになります。

 

そうすれば、相手の動きを先読みして、攻撃が自分に当たらないように体を捌きながら自分の攻撃を相手に当てることも可能になります。

 

これが、気を用いた攻防です。

 

このこと自体は、特別なことではなく、武道や格闘技などの試合でも無意識のうちに行われています。

 

その証拠に、間合いという重苦しい空気感があります。

 

これこそが、自分の気と相手の気とがぶつかり合った状態で、常に相手を攻撃する隙を伺っている状態です。

 

勝負にコンスタントに勝利できる人は、無意識のうちに気を上手に活用して相手を制していると思います。

 

さらに達人クラスになると、相手の意識が見たり、相手の動きを上回る動きをするなど神がかったことが行えるようになると考えられます。

【関連記事】武術の達人の是非(ゾーンと脱力体)

 

「気」を用いることで相手の気を察知したり、相手の意識を読んだり、相手の動きを上回る動きを行えるようになります。

気」の修練法

ただ、気を利用するためには、気を認識する必要があります。

 

例えば、気功では最初に気の感覚を得ることからはじめます。

 

この方法は、

  1. 両手の掌を胸のところに持ってゆき10センチぐらい離します
  2. 離した空間に意識を集めると一時的に催眠状態になります
  3. そうしていくうちにての力が抜け、ビリビリしたような感覚をおぼえます
  4. ビリビリした感覚を覚えながら、両手を近づけたり離したりします
  5. ビリビリした感覚が強くなると両手が温まってきます

このようにして、気の感覚を得ることができます。

 

この感覚は、掌に意識を集中させて催眠状態を作ることで得られます。

 

体の動きに合わせて気を流し動かしていきます。

 

そうして、丹田に気を集めたり、正中線上に気を巡らせるようにします。

 

そうすることで、さらに深い催眠状態が作られ、気の感覚が強くなります。

 

そうして、気をコントロールできるようになると、相手の意識に働きかけることができるようになります。

 

武術の演武などで、師匠が弟子の体を触れずに投げたりできるのは、弟子の意識を誘導しているからです。

【関連記事】変性意識カースト(人間関係に潜む背景)

 

ですが、意図的に気をコントロールする修練法は、心身を蝕む危険性を伴います。

 

それが、深い催眠(変性意識)による弊害です。

催眠による弊害

催眠とは、意識が狭窄した変性意識状態のことです。

【関連記事】催眠とは(意識が狭窄する変性意識) 

 

催眠によって気の感覚を得られるのは、身体を脱力させることができるためです。

 

とは言っても、軽い催眠では脱力することができません。

 

なので、気の感覚を得るためには、ある程度深い催眠状態にならなければなりません。

 

しかし、人は基本的に深い催眠状態になることはありません。

 

催眠状態に陥ることで、雑念が沸いたりして意識を集中させることができず、力みが強くなるからです。

 

そうして、深い催眠状態により心身にダメージを負うことを防いでいると考えられます。

【関連記事】自己催眠の危険性

 

なので、自己流で気の感覚を得ることは困難です。

 

ですが、気をコントロール法を教えてくれる先生につくうちに、催眠状態に誘導され、少しずつ催眠状態を深くすることができます。

 

このように、意図的に深い催眠状態に入るために行うのが「気功」です。

 

気を操作していくうちに元気になるように感じるようになります。 

 

これは、ドーパミン過多による興奮状態です。

 

この状態では、気は高くなる反面、内臓の力が弱まります。

 

そうなってしまうと、生命エネルギーが作られず枯渇してしまうのです。

【関連記事】気をコントロールすることの危険性

  

そうして、心身が疲弊して寿命を縮める人もいれば、自律神経失調や精神崩壊を引き起こす人もいます。

 

まさしく「気が狂った」状態です。

 

これが、催眠を利用して気の感覚を得ることの弊害です。

脱力体による「気」の感覚

気の感覚を得るために危険な催眠を利用する必要はありません。

 

そこで、おすすめするのが「脱力体」を作ることです。

 

「脱力体」とは、骨で体を支え、骨を中心に体を動かすことのできる身体のことです。

 

「脱力体」を得るためには、骨格の構造に沿った立ち方、座り方、歩き方を行う必要があります。

 

そうすると、体全体の無駄な力が抜け、自然に気の巡りが良くなります。

 

そう、意図的に気をコントロールしなくても、気の感覚を得ようとしなくても気の巡りを良くすることができるのです。

 

脱力した感覚が身につくと、普段とは違う感覚を得ることができます。

 

これが全身の気の感覚です。

 

ただ、なかなか脱力体になれないという人もいます。

 

それは、体の歪みが強い人です。

 

特に、インナーマッスルの緊張が強いと脱力体を作ることができません。

 

その場合、まず身体のバランスを整えるエクササイズを行う必要があります。

 

身体のバランスが整えば、体の力が無理なく抜けていきます。

 

そうすると、意図的に力を抜いたり、気を巡らそうとしなくても全身の気の巡りが良くなります。

 

全身の気の巡りが良くなると血・水の流れが良くなり、健康体を得ることができます。

 

さらに、身体の動きも良くなるために、力を効率的に伝えることができるようになります。

 

また、相手の気(意識)を察知する能力も高くなります。

 

あと、相手との間合い(重い空気感や緊張状態)を緩和することもできるようになり、円滑な生活を送ることができるようになります。

 

脱力体を作ることにより全身の気の巡りが良くなり、

  • 身体の健康
  • 精神の安定
  • 身体感覚が鋭くなる
  • 身体能力の向上

などの効果が期待できます。