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呼吸と自律神経との関係

通説では、息を吸う時に交感神経が、息を出す時に副交感神経が優位に働くと言われています。


経験的にそのように観察されてはいるようですが、どうしてなのか?は分かっていないようです。


また、呼吸と自律神経との関係は呼吸数との関係が深く、呼吸数が多いと交感神経、呼吸数が少ないと副交感神経が優位に働くとも言われています。


自律神経は、視床下部によって調節され生命維持の活動にとって重要です。


そして、血液中の二酸化酸素の濃度と呼吸との関係が深いことも分かっています。


これは、血管に二酸化酸素の濃度を測るところがあり、二酸化酸素の濃度が高ければ息が吸われ、少なければ息が出されるように脳幹によって調整されています。


このように考えると、自律神経と呼吸を語るのであれば、呼吸数と心拍数との関係を考えた方が理に適っているように思います。


なので、ここでは呼吸数と自律神経の関係で呼吸法を考えていきたいと思っております。


交感神経は、脳や神経、筋肉の働きを高める働きがあります。


呼吸数が多いと交感神経が優位に働くように無意識のうちにコントロールされています。


これは、体がたくさんの酸素を欲する時、呼吸数を多くするように指令が出され、交感神経が優位に働くことによって、このような指令が出されるからです。


多くの筋肉を働かせるためにたくさんの酸素が必要になり、酸素を筋肉の細胞に送り届けるために呼吸の回数を速くして多くの酸素を取り入れようします。

 

そして、取り入れた酸素を筋肉に運ぶために心拍数が高まり、心臓から多くの血液が運ばれ、多く酸素が筋肉にもたらされます。


呼吸の数を増やしたほうが酸素を多く運ぶことができるため、交感神経が優位に働くと呼吸数と一緒に心拍数も上がるのは、そのためです。


仮に、意識しなければ呼吸ができないのであれば、意識にしなくなった時点で呼吸が止まってしまいますので、大変なことになります。


呼吸を意識しなくても呼吸を行っていられるのは、自律神経のおかげでもあります。


そして基本的に、呼吸と心拍数は連動しています。


それは、肺で酸素が取り入られ、酸素を二酸化酸素を全身に送るのが心臓だからです。


そして、筋肉の活動と呼吸も連動しています。


それは、細胞から出された二酸化酸素を肺へ運ぶために血液(血漿)を肺に運ぶ必要があります。


このように、呼吸と心拍数と筋収縮とは密接な関係にあり、それらをコントロールしているのが自律神経の働きです。

 

このような関係から、気持ちが焦ると交感神経が優位に働き心拍数が上がり呼吸が早くなります。


それに対して、気持ちが落ち着くと副交感神経が優位に働き、心拍数と呼吸数が少なくなります。


交感神経が優位に働くと呼吸数が多くなり、副交感神経が優位に働くと呼吸数が少なくなることは、そのためです。

 

ただ、心臓の働きは完全に自律神経の支配ですが、呼吸は違います。


呼吸は原則、自律神経の支配下にありますが、息を吸う時に働く横隔膜という筋肉は末梢神経支配の骨格筋(随意筋)であり、自分の意志でコントロールすることもできる不思議な筋肉でもあります。


呼吸は、自分の意志でコントロールすることができるので、呼吸をコントロールすることで自律神経の働きをコントロールして気持ちを落ち着かせることができるのでは?と考えられたのでしょう。


気持ちが焦るのを収めるために、ゆっくりと呼吸することで気持ちを落ち着かせる。


昔の人が、そのように考えて考案されたのが、呼吸法なのでしょう。


昔は自律神経と呼吸との関係がなど分かっていなかったので経験的に、そのような法則を見出したのかもしれません。


ただ、生理学的な意味合いがなかったため、感覚だけを頼りに考案するしかなかったと思います。


感覚を伝えるということは、とても難しいことです。


それは、人それぞれ、持っている感覚が違うからです。


発する側の情報が受け取る側にそのまま伝わればいいのですが、発する側の信号を受け取る過程で、その信号を翻訳する必要があります。


そのことから、なるべく共通認識できるように伝えることが必要となります。


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