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脱力と姿勢

前回の続きです。

 

身体感覚が鋭くなれば「力み」に対して敏感になります。

 

そうなってから、力まないように身体のポジショニングを調整出来るようになれば脱力の精度も高くなります。


脱力動作を意識することが脱力トレーニングではないと考える。

 

実際問題、慣れない動作において脱力などできない。

 

それは、当たり前である。

 

では「脱力トレーニング」とは?

 

身体のポジションを調整し、それをフィードバックする。

 

その礎を構築していくのが大田式の脱力トレーニングなのだ。

 

このようにして、身体調整によって脱力した状態を得ることができれば、力みに気が付きやすくなる。

 

これは、脱力した状態が体に刻み込まれるからだ。

 

このことによって、自分自身の身体の可動域や筋力を感知しやすくなる。

 

平たく言えば、自分の身体感覚が鋭くなり「己を知ることができる」ということだ。

 

このことは、物事の上達に大きく役立つ。

 

己のできないことを認識できれば、できるようになるように軌道修正することができる。

 

だが、己のできないことが明確になっていなければ、軌道修正しようがない。

 

脱力トレーニングを行うことで、身体に対する認識力が高められる。

 

このことが、新しい動作や習慣を身につけることに大きく役立つだろう。

 

さらに、脱力体が作られると物事を吸収する能力が高まるという特徴がある。

 

よく、年をとると「物覚えが悪くなる」と言われる。

 

その理由は、加齢に伴い、脳神経系の情報伝達能力が衰えるためだと考えられる。

 

では、なぜ衰えるのか?

 

その鍵となるのが「姿勢」である。

 

姿勢が良ければ、背骨を通る脊髄を圧迫しない。

 

対して、姿勢が悪ければ背骨が歪み脊髄を圧迫する。

 

このことで、脳(中枢系)とその他の部位(末梢系)とのネットワークが悪くなる。

 

そうすると、脳に与えられる刺激が全体的に少なくなる。(反対に過敏になる箇所もある。この代表的なものが加齢に伴う痛みや不調なのだ。)

 

これが、加齢に伴う記憶力の低下と好奇心などの低下につながると考えられる。

 

逆に、年齢を重ねても記憶力の良い人や好奇心の強い人は脳神経系のネットワークが良好だと言える。

 

これは、年齢を重ねても成長し続けることができることを意味している。

 

そのような状態をキープし続けるためには、姿勢を整えることが大切である。

 

私は、様々な方々の身体に触れてきたが、高齢にもかかわらず元気で認知症など見受けられない人は例外なく背筋が伸びている。

 

このことからも、姿勢が大切だと強く言える。

 

姿勢を整えることを常に意識する。

 

常識的な感覚では「姿勢を良くする」というと直立に立った時や椅子などに座った時に限定される。

 

しかし、そうではない。

 

立っている時や座っている時はもちろん、歩いている時は日常生活動作を行っている時にも常に「姿勢を整える意識」が必要なのだ。

 

ただ

「動いている時に姿勢を良くしようとすると体が動かなくなってしまうけど。」

となる。

 

それは、当然だ。

 

体を動かすということは、背骨や肋骨といった体幹部の骨が細やかに動かすということだ。

  

動作において体が歪む。

 

これは当然のことで、体が歪ませることで動作を行うことができる。

 

ここでいう姿勢を整えるとは、姿勢を良くすることではない。

 

動作に応じて最適な体の歪みを作り出すことができる。

 

これが、姿勢を整えるという意味だ。

 

問題なのは、体の歪むことではない。

 

体の歪みが大きくなり、固定化することである。

 

そうなると、動作に適した体の歪みを作ることができない。

 

同じ動作を繰り返して行い熟達してくると動作に適した体の歪みが作られる。

 

だが、特定の動作のみに最適化させてしまうと体の歪みが大きくなり固定化してしまう。

 

これによって伴う痛みや不調のことを「職業病」という。

 

そして、加齢と共にパフォーマンスが落ちるのも体の歪みが大きくなり固定化することが原因となる。

 

特化した動作に最適な姿勢が作られようと、痛みや不調を抱えていれば、そこに心囚われ、物事に集中できない。

 

そして何より、脊柱の歪みによる脊髄の圧迫により、脳と末梢とのネットワークが悪くなる。

 

これが、ある程度上達すると天井が見えてくるのも、このことが原因だ。

 

上達をし続ける人は、例外なく姿勢が良い。

 

もちろん、動作に最適な姿勢というものはある。

 

だが、その動作を行わない時にもその姿勢は必要ない。

 

歪みが固定化している人の特徴は、立っている時も座っている時も歩いている時も、さらには寝ている時にも特化した姿勢を取り続けようとする。

 

いくら仕事や趣味に最適な姿勢であったとしても、それ以外の時にも必ずしも最適とは限らない。

 

例えば、座って行う動作に特化した人は、例外なく猫背が多い。

 

その動作においては最適であっても、立ったり歩く時には最適ではない。

 

歩いたりする時には背筋を伸ばしていた方が歩幅が広がり、歩きやすい。

 

立っている時も背筋を伸ばした方が楽に立ち続けられるので最適だ。

 

何より、心身の健康のためにも背筋を伸ばす習慣は大切である。


良くない姿勢の代名詞である猫背の姿勢ですが、メリットがあります。

 

ですが、大きなデメリットもあるのです。

 

くわしくは、次回の記事で書いていきたいと思います。