大脳と脳幹の後ろに小脳という器官があります。
大脳に対して小脳というぐらい小さく女性のこぶしぐらいの大きさで重さは約130gほどです。
小脳の表面にもシワがあり、大脳のシワに比べると細く細かいのが特徴で、シワを広げた時の表面積は大脳の約80%ちかくあるといわれています。
小脳の働きには大きく2つあります。
1つは、意識的に体を動かす際、それ以外のところの動きを調整する働きです。
例えば、手を伸ばして物を取ろうとする時、物を加える力や速さを微調整する働きです。
この時、大脳の指令によって体を動かそうとすると、小脳がその動きに合わせて動きの強弱やバランスを調整します。
小脳と大脳が連携して働くことで思い通りに体を動かすことができるのです。
もう一つは、体のバランスを保ったり、動きに中でその時々に合った姿勢を取れるように調整する働きです。
例えば、手を伸ばして物を取ろうとする時に体幹部を動かして重心を安定させるなどが、その働きです。
自転車に乗ったり、スキーやスケートなど、平衡感覚が強く必要な運動は小脳の働きが大きく関係します。
ですので、小脳の機能に障害が起きると、筋肉を制御する能力が弱くなります。
そのため、物を取ろうとすると手が震えたり、動作を円滑に行えなくなりぎごちなくなります。
このことにより、体のバランスを調整する働きがうまく機能しなくなるため、じっと立っていられなくなったり、歩く時に真っ直ぐに歩けずにフラフラした歩きになってしまいます。
お酒を飲んだ時、酔っぱらって千鳥足になるのは、アルコールによって一時的に小脳の機能が低下するためです。
あと、脳の下の部分を脊髄といい、背骨に囲まれており、脳からの情報を体の各部に伝えたり、逆に体からの情報を脳に伝えたりする、脳と体の各部とをつなぐ中継地点の働きをしています。
脳と脊髄は、脳脊髄液という無色透明の液で満たされています。
この液がクッションの働きをすることで外からの衝撃から脳や脊髄を守っています。
人の脳脊髄液の量は、120~150㎖です。 一日に約550㎖ずつ作られるので、1日あたり3~4回は入れ替えられていることになります。
また、脳脊髄液は、脳や脊髄に栄養を補給したり、老廃物を運ぶ働きもあります。
脳脊髄液の量が少なくなることで、さまざまな不調を起こすと言われています。
参考図書「図解雑学 からだの不思議」加藤征治 著 ナツメ社