· 

痛みや不調と体性感覚

腰痛で悩んでいる方も多いと思います。

 

医学的には、腰痛のうち原因が特定できるのは約2割と言われています。

 

他の8割は医学的に異常が確認されない腰痛です。

 

一時期は、器質的(体の構造)に異常が確認されないものは心因的な要因と考えられるようで、その当時、原因が特定できないから心因性というのは少し乱暴なようにも感じていますが、今では日常生活の疲労の積み重ねによる要因も考慮に入れられているようです。

 

私は指圧やリハビリの臨床を経て今に至る17年の間、様々な痛みや不調を覚える方をみてきました。

 

そうした経験から、痛みのある人の多くは体を動かした時に感じる感覚(体性感覚)が弱くなっている人が多いことに気がついたのです。

 

痛みの強い人は動かすと痛みが強くなるので、動かすことに関する体性感覚を無意識のうちに弱くしているのかもしれません。

 

調整を行うためには受ける人の体性感覚(動かした時の身体感覚)がとても大切です。

 

ですが、体性感覚が弱いと調整が難く、なかなか良くなりません。

 

治療をしてもなかなか良くならない人は、おそらく体性感覚が鈍くなっていると考えられます。

 

このような人に対して私は、動かした時の痛みの有無を聞きながら調整を行なっています。

 

動きに対しての感覚は薄くても痛みに対しての感覚は敏感になっているので、痛みを通して身体を認識することができるので、この方法が有効です。

 

身体の感覚を認識することができれば、身体の調整を成功するといっても過言ではありません。

 

痛みに対する意識が強いから身体に対する意識が弱くなるというよりも身体感覚が弱くなるから痛みという形で身体を認識するのかもしれません。

 

そのような方でも、痛みが改善されると共に、次第に身体の感覚が蘇ってきます。

 

しかし、中には、強い痛みがあるわけではないけれど、肩こりや体のだるさなどのような不調を強く感じている人もいます。


このような人も動かす時の感覚がとても弱く、どちらが動かしやすいなどを認識しずらく、身体の調整を行うことが、とても困難です。

 

なぜかと言いますと、痛みを聞きながら調整できないからです。

 

聞かなくても身体を調整することは可能ですが、このような調整は施術者に対する依存を生んでしまいます。

 

ですので、このような人に対しては、どちらか好きな方向や姿勢を選んでもらうようにして自身で選んでもらうようにしています。

 

「自身の動きを自身の意思で選んでもらう」わけは、施術者に依存させるような調整では身体の感覚を認識できないからです。

 

また、私は腰痛以外にも医学的に特定できないと言われる痛みや不調を抱える人も多くみてきましたが、このような方の多くは、長く患ってしまう傾向があります。

 

原因が特定できれば治療法が特定できるのですが、特定できなければ治療法も特定できず、対処療法に依存するしかありません。

 

調整を行うことで良くなる人は、自身で治ろうとする意識が高い人です。

 

それに対して良くならない人は、施術者に治してもらおうとしている人です。

 

治ろうとする人の意識は、自身の身体に向かっています。

 

ですが、治してもらおうとしている人の意識は施術者に向いています。

 

それは、施術者に依存することを意味しています。

 

なぜ、依存すると治りにくいのかと言いますと、依存によって変性意識状態という脳のバグ(誤作動)を起こしてしまい自身の身体感覚が希薄になるからです。

 

そうなると、身体に備わっている身体調整作用が起動しなくなってしまいます。

 

身体調整機能を起動させるためには、

  • 身体の感覚意識を高めること

そのためには、変性意識状態(脳のバク)から抜け出すことです。